2020年から「外来医師多数区域」に開業する医療関係者に対して、新しいルールが適用される見込みとなりました。
しかし、まだこのルールについて詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
「外来医師多数区域」とは
各都道府県には、健康管理や疾病予防、入院治療など日常的に発生する疾病に対する医療サービスを提供する「二次医療圏」という区域があります。
「外来医師多数区域」とは、この二次医療圏の中でも外来を担うドクターが多いとされる区域を指します。
これには、厚生労働省が定めた「外来医師偏在指標」に基づいて算出された区域のうち、上位33.3%が該当します。
外来医師多数区域の設定は、多数区域での新規クリニック開設者には在宅医療等を求めるというものです。
最終確定ではないですが、「第30回医師需給分科会」において外来医師偏在指標(精査中)が発表されています。
外来医師偏在指標(暫定)(厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第30回)別添資料より)
2019年3月22日 第30回医師需給分科会
「医療従事者の需給に関する検討会」の「第30回医師需給分科会」により、外来医師多数区域の開業制限等も含む「第4次中間とりまとめ案」が了承されました。
医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第4次中間取りまとめ(厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第30回)別添資料より)
医師の地域偏在解消に向け、新たに「医師確保計画」に則った医師確保策(医師派遣の充実や、医師少数地域での勤務の評価、大学医学部への地域枠・地元枠の設置要請など)が2020年度からスタートしますが、2020年度以降の新規クリニック開業には新ルールが適応されます。
・地域医療の方針への合意や、それに関する協議の場を設けられます
近年は高齢者の救急搬送が多く、また訪問診療の件数増加などがあり、在宅医療、初期救急(夜間・休日の診療)、公衆衛生(学校医、産業医、予防接種)等、地域で求められる役割を果たす旨を記載することが求められるようになります。
・外来医師多数区域に新規開業する医師には、地域に必要な医療機能を求められます
外来医師多数区域への開業届け出様式に、その地域の外来医療機能方針などの情報を提供し、地域で定める不足医療機能を担ってくれるように合意を求めるとしています。
「より大きな地域医療への貢献を求める」ということです。
「地域医療へ貢献する」旨の記載を拒むこともできますが、その場合には外来医療のあり方を協議する場に出席し、地域医療の関係者とともに地域において果たす役割などを協議することになります。
また、協議結果は公表されることになります。
地域で不足している医療機能
日本は既に超高齢化社会となっており、医療や福祉などは増え続ける高齢者の問題に対応することが、緊急の課題となっています。
例えば、救急搬送については高齢者の件数が近年増加しており、中でも軽症(一次救急)の割合が多くなってきています。
また、在宅医療が進む中で、訪問診療の件数も増加の傾向にあります。
地域医療においてこれらの医療機能は、今後さらに重要な位置付けとなっていくと考えられるでしょう。