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クリニック経営について

クリニックでのキャッシュレス決済

近年、クレジットカード以外にも「スマホ決済」とも呼ばれるQRコード決済や電子マネーの普及が進んでおり、キャッシュレス決済を利用する方は増加しています。
飲食店や小売店ではキャッシュレス決済の導入が進んでいるものの、病院やクリニックにおける導入率は低いのが現状です。

医院開業を考えられている方に向けて、検討しておきたいキャッシュレス決済導入についてお話します。

キャッシュレス決済とは?

キャッシュレス決済とは、現金を使わない決済手段のことであり、クレジットカードをはじめ、電子マネー、QRコード決済など様々な種類があります。

クレジットカード
Visa・JCB・MasterCardなどのクレジットカードによる決済
利用額に応じたポイント制度や旅行傷害保険などの特典があるのが魅力。
支払い方法:後払い

デビットカード
銀行口座を紐付いたカードを用いて残高から引き起こすタイプの決済
支払い方法:即時払い

電子マネー
iD・QUICPay・nanaco・楽天Edy・交通系ICカードなどによるタッチ
支払い方法:基本的に前払い。クレジットカードと紐づけて利用するQUICPayやiDは後払い。

QRコード決済
PayPay・LINE Pay・楽天Pay・d払いなどスマートフォンのQRコードを使う決済
支払い方法:前払い

クリニックにおけるキャッシュレス決済導入事情

医療機関におけるキャッシュレス導入率は著しく低い水準となっています。

病院におけるキャッシュレス導入率はクレジットカードが49.0%、電子マネーは2.2%となっており、より規模が小さいクリニックに限定するとクレジットカードは16.5%、電子マネーは1.9%となっています(2019年3月時点)。
参考:厚生労働省「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査 結果報告書

クレジットカード決済を行っているクリニックは多いものの、その他のキャッシュレス決済に関しては普及が進んでいないのが現状です。

その背景としては、以下の理由は考えられます。

・顧客からの要望がない
・手数料が高い
・導入のメリットが不明
・入金サイクルが遅いのが困る
最も多かったのが「顧客からの要望がない」という理由でしたが、利用者が事業者に対して決済方法に関して意見をすること自体が珍しいです。とくに、病院やクリニックの利用者の多くは高齢者であり、そもそもキャッシュレス決済を知らない方も多いと予測されます。

キャッシュレス決済導入のメリット

リニックがキャッシュレス決済を導入することには、次のように多くのメリットがあります。

メリット1:受付の負担と会計の待ち時間減少
まずクリニック側のメリットとして、受付の負担と会計の待ち時間が減少することがあげられます。
現金を用意する時間やお釣りの計算・受け渡しがなくなるため、レジ作業を行う必要もなく会計がスムーズになるためです。また、キャッシュレス決済を導入すれば紙幣、釣り銭の補充など現金にまつわる業務負担が減るため管理が楽になります。

メリット2:患者の金銭的・心理的負担の軽減
クリニックでの支払いは、いくらになるか予想がつきにくいものです。患者は「手持ちの現金で足りるか」との不安や、高額な支払いを求められる負担などを感じがちになります。

しかし現金以外の決済法に対応していれば、クリニックで手持ちの現金より高額な会計となっても対応でき心理的負担が軽減されるはずです。また利用によりポイントが付与される方法が多く、患者さんの金銭的負担も軽減されます。

メリット3:集客
患者さんにとって負担の少ないキャッシュレス決済ができるようにすることで、集患率を向上させられる可能性があることもメリットです。

普段から現金以外の決済法を利用しているユーザーにとって、導入されているかどうかがクリニック選びのポイントとなり得ることもあるでしょう。

メリット4:非接触での支払いが可能
新型コロナウイルスの感染が拡がって以降、「非接触」で支払いが完了するキャッシュレス決済には感染防止策のひとつとしても注目されています。

また、医療現場においては精算を全て一人で行える自動精算機も注目を集めています。
感染拡大の防止になるだけでなく、スタッフの業務的負担も軽減されます。

キャッシュレス決済導入のデメリット

デメリット1:操作を覚える負担
どのキャッシュレス決済も簡単とは言え、多少の操作は必要となります。これまでとは違った新しいことを覚えなければならない事に抵抗を感じる人はいます。

しかし、キャッシュレス決済に複雑な操作は一切不要で、処理に時間がかかることもありません。また、1つの端末で複数の種類のカードを使えるシステムもあるので 、利用者のニーズにも簡単に応えられます。

デメリット2:導入費用
クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決済の導入する場合、初期費用として、端末料金と利用登録料が必要になります。導入費用は、端末の種類によりますが5万円~10万円が相場です。

デメリット3:手数料
キャッシュレス決済ランニングコストとして、決済手数料がかかります。手数料の相場は決済総額の3.0%です。

しかし手数料は、実際には手数料は1割~3割の自己負担額にしかかからず、般的な診察や治療においてはさほど高いものではありません。キャッシュレス導入によって利用者が増えれば、すぐに元を取れる額です。

デメリット4:入金までに時間がかかる
キャッシュレス決済だと支払いから入金までに1ヶ月~2ヶ月のタイムラグが発生してしまいます。現金に余裕のないクリニックだと、このタイムラグによって苦しい問題かもしれません。

さいごに

こうしてメリットとデメリットを並べてみると、キャッシュレス導入にはデメリットはほとんどないように思えます。
患者さん側からしてみても、高額な検査・治療を受けた場合での支払いが楽になり、カードポイントも付きメリットしかありません。

より多くの人にとって利用しやすい、「選ばれる病院・クリニック」になるためには、キャッシュレス導入を検討することをおすすめします。