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お役たちコラム

2020年 診療報酬改定

2020年診療報酬改定の方向性について、10月31日の第120回社会保障審議会(社保審)で議論されました。
その後、各診療行為の報酬や個別の薬価等について、年明けに中央社会保険医療協議会(中医協)で改定案を取りまとめ、厚生労働省に答申して決定し4月より施行されます。

現時点で社会保障審議会で示されている方向性

・医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進
・患者・国民にとって身近であると共に、安心・安全で質の高い医療を実現
・医療機能の文化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進
・効率化・適正化を通じた制度の安全性・継続持続性の向上
出典:2019年10月「第120回社会保障審議会医療保険部会」資料

基本方針は、前回の2018年度診療報酬改定時と大きくは変わっていませんが、「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進」することが重点課題に設定されています。
2024年4月から医師についても時間外労働の上限規制が適用されることを見据え、医師の労働時間管理の徹底と労働時間短縮への計画的な取り組みが今後一層強く求められ、勤務医を抱える病医院では対応が必要となります。

診療報酬改定

2020年度の診療報酬改定率は、2018年度に引き続きマイナス改定が予想されます。
2018年度改定を振り返ると、全体改定率マイナス1.19%
薬価などを1.74%引き下げ診療報酬本体はプラス0.55%を確保しました。
しかし、今年10月に消費税率引き上げに伴う診療報酬改定が行われた事により、薬価が0.51%引き下げられました(消費税対応分プラス0.42%、実勢価改定等マイナス0.93%)。

財務省は11月1日に開催された財政制度等審議会で、「国民医療費の増加は、国民負担の増加を意味し、これ以上の負担増を防ぐためには、医療費の増加を抑制することが必要」と示し、マイナス改定を提案しています。

財務省が示す2020年診療報酬改定の考え方

  • 過去10年間で国民医療費は平均2.4%/年のペースで増加。このうち、高齢化等の要因による増加は平均1.1%/年であり、残り半分程度は人口増減や高齢化の影響とは関係のない要素によるもの。高齢化等の要因による増加の範囲に収める為には、診療報酬改定において2年間で▲2%半ば以上のマイナス改定とする必要。
  • こうした観点から、制度改革の実現のほか、2020年度の診療報酬改定においても一定程度のマイナス改定を行い、国民負担を抑制する必要。
    出典:医療制度改革の基本的な考え方(2019年11月1日財政制度等審議会)

重点課題:働き方改革

2020年度の診療報酬改定では、基本方針は、前回の2018年度診療報酬改定時と大きくは変わっていません。
しかし、注目すべきは「地域包括ケアシステムの推進」に取って代わり、「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進」することが重点課題に設定されていることです。
2024年4月から医師についても時間外労働の上限規制が適用されることを見据え、医師の労働時間管理の徹底と労働時間短縮への計画的な取り組みが今後一層強く求められ、勤務医を抱える病医院では対応が必要となります。

  • 一般則(月45時間、年間360時間以内)を考慮しながらこれとは異なる上限を設けることとする
  • 「連続勤務時間制限」「勤務間インターバルの確保」「代償休暇」等の追加的健康確保措置の導入を努力義務とする方針
    出典:第14回医師の働き方改革に関する検討会

    ※上記の追加的健康確保措置に関わる具体的な数字としては、
    ① 当直及び当直明けの日を除き、24時間の中で、通常の日勤(9時間程度を超える連続勤務)後の次の勤務までに9時間のインターバル(休息)を確保する

    ② 当直明けの日については、 28時間連続勤務制限を導入する
    ③ 当直明けの日の勤務間インターバルは「9時間×2日分で18時間」とする

ただし、医師不足の地域で医療に従事する医師、または集中的な技能向上に努めるべき若手医師等については、原則を上回る上限時間数を設定できるものとし、上乗せ健康確保措置の導入を義務とする方針となっています。

人の命を預かる医療現場においてはつい後回しにされがちな、そこで働く人の勤怠管理ですが、医療の質や安全の確保のためにも、医師や看護師、その他の医療スタッフが十分な休息時間を確保できる体制を整えることは最優先に行うべきだといえるでしょう。